サービスの利用者が交流する「オンラインコミュニティ」とは
利用しているサービスの質問や不明点、活用方法を投稿すれば、他のユーザーが閲覧したり回答したりできます。従来、回答する役割を担っていたのは、事業者のカスタマーサポートや営業などでした。しかも、ユーザーがそういった窓口に問合せする時は、不明点や問題がはっきりしている場合がほとんどです。窓口に問合せるほどではないけれど気になること、もっと有効活用できる方法を知りたい、他の人はどのように使っているのか……。そういった「ちょっと誰かに聞いてみたい」ことを、同じサービスの利用者に投げかけられる場が、オンラインコミュニティと言えます。
事業者にとっては、コミュニティが機能すれば問い合わせ対応の負荷が軽減されます。何度も繰り返される質問は特に、コミュニティの過去の投稿を閲覧できれば、ユーザー、事業者奏法の負荷軽減にもつながります。
オフラインのイベントとは何が違うの?オンラインのメリットは?
「コミュニティ」でイメージしやすいものとして、「ユーザー会」というイベントがあげられるでしょう。ユーザー会は既存顧客を対象に、業種や規模、想定課題といったテーマに応じて集まり、ディスカッションや懇親を行う場です。オンラインコミュニティはユーザー会に似ていますが、機能は異なります。
まず、ユーザー会はオフラインであるがゆえに、開催場所、時間、予算などの物理的な制約がつきまといます。企画、集客、準備など担当者の負荷も高くなります。顧客数が増えれば増えるほど、事業者の担当が一顧客あたりにかけられる時間は相対的に減るので、ユーザー会で一気に取り戻そうと考えたくなります。しかし、思っているほど接点が持てない場合もあります。例えば顧客数が600として、25顧客集めるイベントを月2回開催したとします。事業者側としては年24回のイベント開催ですから、それなりにリソースを割くことになります。しかし、1顧客当たりの接点は年2回にとどまります。そもそも、オフラインのイベントに参加したがらないユーザーもいます。
同じサービスを利用していても、活用度合いはユーザーによってばらつきがあります。オンラインコミュニティならすぐに相談できる気軽さがあるので、ユーザーがそのサービスと接点を持つ機会が増える可能性が大きくなります。ユーザー会を開くまでもなく、ユーザーにとって非常に大きなメリットをもたらしながら、サービスを提供する事業者にとっても低コストで顧客のエンゲージメントを維持できる好循環が期待できるのです。
オンラインコミュニティのポイントは「活性化」
オンラインコミュニティを主催する上で、最も難しいのがコミュニティの活性化です。場を用意したは良いけれど、誰も投稿しない。誰も投稿しないから、ますます人が寄りつかなくなる……。
特に立ち上げたばかりのタイミングでは「誰も投稿していないから投稿しづらい」「誰も回答してくれなかったらどうしよう」「こんなこと聞いて良いのかな」など、ユーザーにとってもハードルが高い状態です。
まずは、エンゲージメントの高いユーザーに絞って招待し、少人数で開始することをすすめます。また招待する手段も、メールなどで一方的に送るだけでなく、顧客とふだんから接点を持つ営業担当などが、電話や面会時に参加を促すなどの地道な活動が必要です。
また、投稿を促すには、インセンティブを用意することも検討してみてください。回答件数に応じてノベルティプレゼント、会員ランクのアップ、エンゲージメントの高いユーザーだけが参加できる非公開イベントなどのインセンティブです。
そもそも「オンラインコミュニティ」はどのように立ち上げればよいのでしょうか。最近では、
コミュニティを立ち上げるためのクラウドサービス も誕生しています。いきなりそこまではできないという場合は、Slack や Facebook の非公開グループなどで試験的にはじめてみるのもいいでしょう。
まとめ
「オンラインコミュニティ」には、決まった形はありません。記事で紹介したインセンティブの設計や、場所 (専門のクラウドサービス、Slack や Facebook非公開グループなど) も、企業ごとに最適な形は異なるでしょう。提供しているサービスにマッチしそうであれば、一度このようなコミュニティの創出を検討してみてはいかがでしょう。コミュニティサービスの概要は、こちらの記事ご覧ください。