主催者がセミナーを Web で開催するメリット・デメリット

ウェビナーは主催者と出席者両方にさまざまなメリットがあります。まずは従来のセミナーをウェビナーとして開催するメリットとデメリットを紹介します。なおウェビナーはセミナーから派生した言葉ですが、「セミナー」の用途だけでなく、説明会や発表会、プレゼン、集合研修など、「1: n」 で行うイベントに全て当てはまると考えいただいて構いません。

メリット

会場の手配や、資料・アンケートの印刷が不要になるため、準備の時間と費用を大幅に削減できます。また会場のキャパシティを気にする必要がないため、参加者数の多い少ないも気にせずに済みます (使用ツールによっては人数制限がある場合も)。物理的な制約を受けないため、遠隔地の参加者も参加しやすくなります。新たな見込み客を広く集客できるという点でも、非常にメリットがあると言えます。また、録画機能が備わっているツールなら、ウェビナーで配信した映像素材をそのままアーカイブ化して「コンテンツ」として録画配信に利用することもできます。

デメリット

参加者はどこにいてもパソコン、スマートフォンがあれば参加できるので、参加するハードルが下がります。その分、心理的なキャンセルのしやすさから実際の参加率が低くなってしまったり、「とりあえず参加してみた」というようなモチベーションの低い参加者が多くなってしまうリスクが危惧されます。またアンケートの回収率も低くなる可能性があります。

配信に利用できるツールのタイプは3パターン

具体的なツールをご紹介する前に、ウェビナーを開催できるツールの「タイプ」から紹介しましょう。ツールのタイプは、3パターンに大別できます。ただ配信するだけならどのツールでも大差ありませんが、それぞれに得意・不得意があります。まずは、機能を比較した表 (下記) をご覧ください。
ウェビナー用ツール比較表
まず一番の比較ポイントは配信場所です。ツール上で行うのか、オウンドメディアで行えるのかの違いです。どこで配信するかで、取得できるデータが変わってきます。ツール上で行う場合、取得できるデータはツールに備わっている機能に依存します。参加者の管理から、視聴有無、視聴時間、視聴後の行動データなどが想定されます。
一方動画配信プラットフォームは、オウンドメディアで配信できるので、ふだん利用している Web Analytics や Marketing Automation と連携させ、ウェビナーの効果測定を行いやすいというメリットがあります。
Web会議システムとウェビナーツールは機能としては非常に似ていて、チャット機能や画面共有機能などが備わっていることが多いです。異なるのは、参加者の管理の仕組みです。Web会議システムは会議用のURLを発行して配布し、参加者が指定された URL にアクセスしてウェビナーに参加します。ウェビナーツールも同様ですが、申し込みがあった中から実際に何名が参加したか、視聴時間はどれくらいかなどをツール側で測定することができます。Web会議システムでは、このような詳細な管理機能は備わっていません。動画配信プラットフォームも同様です。

ウェビナーツール

メリット

会員登録ページの作成や出席率の管理などを別途用意することなく、ワンストップでウェビナーの開催が可能です。また外部ツールと連携で、参加者のデータをマーケティング活動へつなげることも比較的容易です。

デメリット

機能がパッケージ化されているため、カスタマイズの範囲が限定的です。案内ページや設定項目、視聴データなど、サービス側で定義されている項目が多いため、自社の独自性を追求するとなると、融通がきかないと感じる点があるかもしれません。

Web会議システム

メリット

ふだんから Web 会議を実施している企業であれば、操作や準備にかかる作業が、他のツールと比較して圧倒的に少なくなるでしょう。これは主催者だけでなく、参加者側も同様です。また、リアルタイム性を重視したシステムであることから、他のプラットフォームと比較しても、映像の遅延も最小限に抑えられます。

デメリット

参加者数などの最低限の数値は取得できますが、他のツールと比較すると、取得できる定量的なデータが少ないです。また「会議」を目的としたツールの特性上、ライブ配信中の双方向のリアルタイムコミュニケーション機能は優れていますが、ライブ配信終了後のアーカイブ活用、データ活用において、他のプラットフォームと比較すると物足りなさがあります。

動画配信プラットフォーム

メリット

ライブ配信した映像を、そのままオウンドメディアのアーカイブ配信に活用することが容易にできます。Web Analytics や Marketing Automation などのツールとの連携をご紹介しましたが、既に集客ができている Web サイト、認証ページなどを用意している場合は、既存の枠組みを最大限活用することができます(プラットフォームによって異なる)。

デメリット

提供するサービスの領域が配信プレーヤー部分のみです。視聴用の URL を配れれば良い場合は問題ありませんが、チャット機能やアンケート、認証ページ内で配信したいなどの希望がある場合、それぞれクラウドサービスを利用したり、システムを準備する必要があります。

どのツールを利用するのが良いか

最適なツールは、配信の用途と目的によって異なることをご紹介してきました。それぞれのタイプごとに、Hashikake でツールをピックアップしました。自社で目指している配信に近いサービス選びの参考にしてください。

ウェビナーツール

Web会議システム

動画配信プラットフォーム

ウェビナーを開催するにあたりツール以外で準備が必要なもの

ご紹介したツールは、あくまで配信を行うためのツールです。収録するカメラやマイク、インターネット環境があることが最低限の条件になります。またこれらのツールでは、カメラの映像や画面共有はできますが、下図のように映像内に画像固定表示するような表現はできません。
StreamYard(ストリームヤード)イメージ
このような表現方法を取り入れたい場合には、StreamYard (ストリームヤード) などのサービスと組み合わせることもご検討ください。複雑な設定や操作をすることなく、ライブ配信をより表現力豊かにできます。

まとめ

ウェビナーを検討するにあたり、必要なことがイメージできたでしょうか。多くの人は、ウェビナーを実施する前に、ツールの選定から入るでしょう。まずは配信の目的と、どのような成果を得たいのか、またその成果をどのように計測するかというように具体的に検討してみることをおすすめします。この記事が、ツール選定の一助となりましたら幸いです。