今さら聞けないOKRの基本

OKR みんなで連携してクリア

なぜ今、OKRが求められるのか

会社のビジョンや現状の課題に応じて柔軟に運用でき、社内の連携強化や社員の意識改革などのメリットが期待される目標管理法、OKR (Objective & Key Results=目標と成果指標) 。会社としての目標がいち社員にまで浸透されない、目標に近づく具体的な方法や手順がなかなか決められない、といった悩みを持つ企業のニーズに応えるツールとして注目されています。

企業としての目標に、イチ社員の目標と成長をリンクさせる

まず会社として達成したい目標とその目標に対応する成果指標を設定。次にその目標に基づいた部署ごと、社員ごとの目標と成果指標を設定します。これら全てのOKRを会社全体で共有し、会社と社員が目指す方向を合致させた上で、実行していきます。 設定した目標達成に向け、各部署や個々のメンバーが成果指標に準じた活動を進めることが求められます。成果を挙げるための行動プランに問題が生じた場合は、その解決法やOKRの見直しをチームで話し合い、改善策を実行していきます。このような取り組みを通し、社員の積極性や創造性の向上、メンバー間・他部署との協力体制の強化、社内での目標の共有、会社としての一体感の強化といった効果が期待できます。
こうした効果が期待できる手法として、OKRの認知は徐々に高まっています。
では、OKRを導入するメリットや他の目標管理との違い、具体的な導入法について以下に説明していきましょう。

OKRのメリット

OKR 連携体制と相互理解の比較
OKRの運用によって期待される成果や効果は、数多く存在しますが、特に大きなメリットとされているのが、以下です。
  • 具体的でハードルの高い目標と成果指標を会社・グループ・社員が、同じ方向性で設定。全てのOKRを会社全体で共有した上で、定期的に進捗や成果を確認する場を設けます。こうした取り組みによって、組織の一体感や社員・チーム間の協力・連携体制が強化されます。
  • OKRの運用を通し、所属するチームや会社の目標達成に向けて自分の挙げた成果がリンクするという、当事者意識を個々の社員が持ちやすくなります。こうした意識を持つことで、業務に取り組む姿勢が積極的、主体的になるという効果も期待できます。
  • 設定した全てのOKRは社内全体に共有されます。誰がどんな目的でどんな業務をしているのかを知ることによって、他の部署や同じチームの他の社員が必要とする支援は何かを理解しやすくなります。目標達成に向けて自分や他のメンバーが設定した指標をクリアできるよう、社員同士の意見・情報交換が活発になることも期待できます。

従来の目標管理との違い

OKR 各評価指標の違い

MBOとの違い

MBO (Management By Objective and self control=目標管理制度)は、社員が上司と話し合った上で自身の目標を決め、その目標に対する達成度で評価する目標管理法です。多くの企業で報酬の決定などの人事評価の手法として導入されています。
OKRとMBOには主に下記のような違いが見られます。
  • OKRとMBOの主な相違
OKRとMBOの比較

計測方法

OKRでは会社全体、グループ、社員ごとに明確な目標を設定。その目標の達成度を数値 (定量)で示した成果指標を用い、定期的に仕事の進捗や達成見込みを確認します。MBOでは達成度の評価に用いる指標に一般的な決まりはありません。数値ではなく、例えば「在庫切れを防ぐため、半年後までに発注動向の分析・改善策作りに取り組む」というように、数値で表しにくい業務方針やプロセスなどを、言葉で示した指標を用いて評価する場合もあります。これは定性評価と呼ばれる評価・計測法です。また数値と定性評価を併用するケースもあります。

目標の共有範囲

OKRでは各グループ・社員の目標や成果指標は全社員に共有されます。MBOでは社員の目標は社員自身とその上司の間だけで共有します。

目標達成度

ハードルの高い目標に挑戦することを前提とするOKRの目標達成度は60~70%が理想的とされます。一方、MBOの理想的な目標達成度は100%。OKRについては、MBOのような感覚で100%達成の評価を求める社員が、あえて低い目標を設定しないよう配慮する必要があります。

KPIとの違い

KPI (Key Performance Indicator=業績評価指標)とは、会社やチームの目標達成に向けた社員の活動の進捗状況を確認するための指標です。KPIは短期間で成果・業績を評価できる現実的な数値とし、指標通りの成果を挙げることが目標達成に直結するものであることが重要です。
  • OKRとKPIの主な相違
OKRとKPIの比較
OKRはグループや社員の目標を社内全体で共有することが特徴ですが、KPIの目標は一般的にチーム内だけで共有します。また、難しい目標に挑戦することで大きな成果を得ることを目指すOKRの目標達成度は60〜70%が理想的ですが、プロジェクトの遂行を目的とするKPIの目標達成度は100%が基本となります。

KGIとの違い

KGI (Key Goal Indicator=重要目標達成指数)は、会社やプロジェクトの目標達成のために個々のメンバーが最終的に挙げるべき成果を定めた指標です。
  • OKRとKGIの主な相違
OKRとKGIの比較
OKRとKGIの大きな違いは目標の達成度と、目標管理を行う目的にあります。
OKRでは達成度が60~70%になりそうな困難な目標を設定することで、企業とチーム、社員が同じ方向に向って協力し合い、挑戦し続けることを目的としています。一方、KGIの目的は100%達成することを前提にした現実的な目標を設定し、活動成果を評価することです。

OKRの具体的な作り方

OKRのフォーマット

OKRを導入する際には、OKRに精通した企業が公開しているフォーマットを参考にすることをおすすめします。こうしたフォーマットを利用すれば、OKRの仕組みや重要点を効率良く把握できるはずです。
以下に代表的なOKRのフォーマットを2点ご紹介します。ともにGoogleスプレッドシートで作成されています。

Google

Googleのフォーマットには、チームOKRのスコアカードが記載されています。非営利目的での利用が可能です。

Perdoo

OKR管理ツールを販売するPredooは、無料で利用できるOKRのフォーマットを公開しています。社員数25名程度の会社やチームでの利用に適したOKR管理シートです。 ※説明は英語のみです。

Objectivesの作り方

OKR Objectivesの作り方
目標 (Objectives)の設定は、OKRの導入時の最重要ポイントです。 OKRを導入する理由、会社の将来ビジョンなどを慎重に検討した上で目標を決めるべきです。経営陣だけで会社の目標を決めるのではなく、社員からのOKRに関する提案を募り、そうした提案も参考にして設定することが望ましいでしょう。 目標を設定する上で注意が必要なポイントは、この4つ。
  1. 具体性 目標は数値などを用いて具体的に表現することが大切です。たとえば「利益率向上」ではなく「利益率20%向上」とすることで、目標に対する社員の認識にズレが生じないようにします。 
  2. 測定可能性 上記の具体性と同様、目標への取り組みを客観的に測定するためにも、主観に左右されずに評価できる具体的な目標を設定すべきです。
  3. 達成可能性 OKRの目標は、達成率60~70%の達成困難なものにします。達成が難しい目標に向かって挑戦することによって、個々の社員の積極性や創造性の向上、社内の協力体制の強化といった効果が期待されます。
  4. 達成までの期限 目標の設定と同時に、最終的な達成率を評価する期限を定めます。期限を決めることで、困難な目標の達成へ向けた取り組みを策定しやすくなります。
上記のポイントに注意しながらまず会社の目標を設定し、その目標と連動するチームごとの目標、各社員の目標を設定していきます。

Key Resultsを作るときのポイント

上記の目標設定が完了したら、次は各目標に対応する成果指標 (Key Results)を決めます。 成果指標を設定する際、注意すべきポイントは以下の3点です。
  • 数値で指標を作る 成果指標は具体的な数値で進捗を確認できるものにします。「2週間で新規案件5件獲得」といった明確な数値を用いて指標を作ることで、認識のズレを防ぎます。
  • 目標一つに対して3個を目安に設定 一つの目標に対する成果指標の適切な数は3つ程度でしょう。少な過ぎると客観的な評価が難しくなり、逆に多過ぎても個々の成果指標を確認する作業が煩雑になります。
  • 目標達成につながる 設定する成果指標は、確実に目標達成につながることが条件です。OKRの進捗状況をチェックする際、成果指標が目標の達成に貢献していることを確認しましょう。

管理ツールで工数削減

OKR 管理ツールで工数削減
OKRの導入・運用には、上に記した目標や成果指標の設定をはじめ、進捗確認や成果を評価する頻度や手順、情報の共有法の策定など多くの作業が必要となります。 このような作業に費やす手間と時間のカット、OKRの円滑な運用に役立つのが、OKR管理ツールです。
現在、国内外の企業が多くのOKR管理ツールを提供しています。代表的なツールに搭載されいている基本機能で、このようなことが可能です。
  • フォーマットに目標や成果指標を入力するだけで、オンラインで社内全体に共有
  • 会社や各チーム、他の社員のOKRの進捗状況や成果の達成見込みなどをインターネットに接続された端末から確認できる
  • 今後のアクションプラン、当初の設定からの変更といった更新・追記された情報をすぐにチェックできる
さらにこういった基本機能に加え、各ツールが独自の機能や特徴を備えています。自社のOKRの状況や課題に合ったツールを選び、OKRの運用に活用することを検討しましょう。

設定したOKRを定期的に見直そう

OKR 良い運用、悪い運用
決定したOKRとOKRの運用ルールは、修正や変更の必要がないかを定期的に確認する必要があります。 業務の進捗状況やビジネス環境の変化、個々のメンバーが担当している業務の量や難易度は適切か、といった点を毎回確認しOKRの見直しが必要ないか検討します。設定した目標や成果指標、業務の分担やスケジュールを変更することで現状の課題が解消されると考えられる場合は、すぐに修正案を検討しましょう。
円滑にOKRを運用するためには、目標と成果指標に沿って現状をチェックする仕組み作り、素早く修正や変更を実施できる体制の整備が不可欠です。

まとめ

OKRを導入・運用することで会社全体に一つのチームとしての意識が生まれ、社内の協力体制の強化やコミュニケーションの活性化、情報共有の円滑化といった成果が多く報告されています。OKRの導入・運用を効率良く行うことのできるクラウドサービスがあります。興味・関心をお持ちの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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