「loom （ルーム）」とは、録画した画面キャプチャー動画をベースにしたクラウド型のコミュニケーションツールです。従来の画面録画ソフトは、PC にインストールして利用するタイプが主流でした。しかし、この loom はソフトのインストールする必要がなく、Google Chrome にプラグインをいれるだけで、ブラウザの画面を数クリックで録画することができるサービスです。インストール版も用意されているので、Chrome を使っていない方も使えます。

loom には特徴的な機能が2つ備わっています。ひとつは録画したキャプチャー動画の共有方法です。動画ごとに URL が発行されるので、共有する際は動画ファイルを一度ダウンロードして YouTube などの外部サービスや ストレージサービス にアップロードする必要がなく、URLだけで共有ができます。視聴する側も、ファイルをダウンロードする手間なく、PC・スマートフォンどちらでもすぐに確認できます。また動画の公開は、 Web サイトに埋め込むための iframe タグを発行して自社サイトで公開することもできます。

2つ目の特長が、ワイプ機能です。これは、画面収録中にウェブカメラの映像をワイプで画面に表示させることができる機能です。ビジネスにおいても、セミナーやサービス紹介、サポートなどで動画活用をする機会は多くなっています。その際に、収録した画面の映像だけでなく、話す人の顔も同時に見ることができると、視聴者の関心をひきつけるのに一役買ってくれそうです。

前述の2つの特長で、loom が既存の画面録画サービスとは全く異なることが理解できたかと思います。加えて先進的なのは、loom には画面キャプチャー動画をさらに活用できる機能が備わっている点です。

まず、動画の共有用に発行された URL には、共有する側がパスワードでアクセス制限をかけることができるようになっています。もちろん URL を知っていれば誰でもアクセスできるようにすることも可能です。

また共有できる URL は動画単体ではなく、動画が埋め込まれたページの URL です。その URL にはコメント機能があり、動画を視聴したユーザーが、秒数を指定してコメントを残すこともできるようになっています。これにより、画面キャプチャー動画をベースにして、コミュニケーションがとれるというわけです。ユーザーは、絵文字だけで簡単に反応を残すこともできます。

他にも、ユーザーは共有された動画をダウンロードできたり、録画した動画を loom 内でトリミングできるなど、あったら嬉しい機能が全て備わっている理想的な画面録画サービスなのです。

一度アカウントさえ取得できれば、利用方法自体は非常にシンプルです。Chrome のプラグインを利用するか、インストールしたアプリケーションを利用するか、操作に大きな違いはありません。

録画したいWebページを開きます。アプリケーションをインストールしている場合は、ブラウザだけでなく、デスクトップでも利用可能です。撮影準備ができれば、自分の顔を表示させる位置を決定します。キャプチャーするページの準備ができたら、再生ボタンをクリックして収録を始めます。

一度収録を始めたらあとは、終了まで画面を操作したり説明を加えたりするだけです。ワイプを設定している場合、画面の邪魔になれば、録画中でもドラッグ&ドロップで移動することが可能です。また大きさを変更することも可能です。説明箇所とかぶってしまった場合も、録画中に柔軟に変更することができます。

収録を停止すると、動画の確認ページに移動します。共有前に諸々の設定をしましょう。動画はそのページごとに共有できます。誰でもアクセスできるようにするか、パスワードで閲覧制限するか選べます。他には、コメントを残せるようにするか、ダウンロードできるようにするかといった細かい設定をします。完了したら、URL を共有してください。

loom の基本的な機能は、無料プランでも問題なく利用できます。しかし、無料プランでは loom に保存できる動画の本数に上限があり、25本までとなっています。 無料プランでは使えない機能の一部を、以下紹介します。

サムネイルを変更することができません。また、動画プレーヤーの上に、 Call-to-Action (コールトゥーアクション) と呼ばれるリンクを設定したボタンを設置することができません。Call-to-Actionは、用途としては「問い合わせはこちら」「資料ダウンロード」のような使い方ができます。

無料プランでも再生回数はわかりますが、共有した動画が誰に視聴されたか、どの程度視聴したかといったデータは取得できません。

loom は画面録画サービスという非常にシンプルなサービスです。しかし、単純に画面キャプチャー動画を録画するだけに留まらない、発展的なサービスということがご理解いただけたのではないでしょうか。録画方法がわからない、音声が出ないといったレベルで足踏みすることなく、録画したい動画の企画や活用方法といった、よりクリエイティブな仕事に時間を割けるようになるでしょう。無料プランでもできることは多いので、ぜひ一度試してみてください。